デジタル・オーディオ用光ケーブル/コネクタ(光角型/光ミニ)

 

オーディオ信号をデジタルで伝送するインターフェイスのうち、PCで標準となっているのは「S/PDIFSonyPhilips Digital Interface Format)」と呼ばれる仕様だ。S/PDIFとは、業務用規格であるAES/EBUのデジタル・オーディオ伝送規格を民生用にしたもので、その名のとおりソニーとPhilipsにより考案・開発された。標準規格としては国際的にはIEC 60958、また日本国内では旧EIAJ(現在はJEITAに統合)のCP-1201で規定されている。民生用AV機器でも標準的なデジタル・オーディオ・インターフェイスとして用いられている。

 S/PDIFでは同軸ケーブル(電線)または光ファイバを用いる2種類の伝送方式が規定されており、どちらかといえばPCAV機器では光ファイバ方式が実装されていることが多い。本稿の「デジタル・オーディオ用光ケーブル/コネクタ」とは、このS/PDIFの光ファイバ方式で用いられているケーブルとコネクタのことだ。

 電線に比べると光ファイバには、外からケーブルにノイズが混入したり逆にノイズをまき散らしたりしない、というメリットがある。また電線では、ケーブルでつないだ機器の一方で生じた電気的ノイズがもう一方の機器に伝わってしまい、アナログ電気回路に悪影響を及ぼすことがある。しかし、光ファイバでは物理的に電気を伝えないため、こうした問題は生じない。このような「電気的ノイズに強い」光ファイバの特性がオーディオの録音・再生に適していたことから、現在のように多くのAV機器やPCにまでS/PDIFの光ファイバ方式が実装されるようになった。

2種類のデジタル・オーディオ用光コネクタ

 デジタル・オーディオ用光コネクタ(「光端子」とも呼ばれる)は、「光角型」と「光ミニ」の2種類が普及している。一般的に光角型は「光角形」、光ミニは「光丸形」「光円形」といった名称でも呼ばれている。

光角型プラグ(左)とそのジャック(右)

PCに実装されているのは、この光角型コネクタの方だ。S/PDIFでは入力と出力でそれぞれ別のケーブルを必要とするため、右写真のように入力と出力の両方とも可能な機器では出力用(左)と入力用(右)それぞれのコネクタが実装されている。

 

光ミニ・プラグ(左)とそのジャック(右)

こちらのコネクタは、ポータブルCDプレーヤなど小型のAV機器でよく利用されている。右写真のジャックは、光ミニ・プラグだけではなくアナログのミニ・プラグも装着して利用できるよう設計されている。つまり専用ジャックを2つ実装せずに済むため、実装面積が限られる携帯機器に適しているわけだ。

 光ミニ・ジャックがアナログのミニ・ジャックとしても兼用できる点を除けば、光角型と光ミニに機能的な違いはない。そのため、変換アダプタや変換ケーブルを用いれば、両者は相互に接続可能だ。

ジャック側の取り扱い:傷やホコリ・汚れの付着を防ぐことが重要

 ジャック側の取り扱い上の注意としては、使わないときは保護カバーをかぶせておくことだ。光コネクタはその名が示すように、光を介して情報を伝達するため、コネクタ部分が傷ついたり、発光素子の部分にホコリや汚れが付着したりすると光をさえぎって通信の障害となるからだ。光コネクタを装備したPCやサウンド・カード、AV機器は、出荷時にこの保護カバーを光コネクタに装着しているはずなので、光ケーブルを接続した後もなくさないで保存しておくべきだ。

光コネクタの保護カバー

光コネクタを装備した機器には、たいていこの保護カバーが付属しているし、またオーディオ機器店でも販売されている。光コネクタを使わないときは、損傷や汚れ防止、防じんのためにこの保護カバーを装着しておこう。

 S/PDIFでは1本のケーブルが送信または受信のどちらか専用であることはすでに触れたが、送信用と受信用との間で、コネクタの形状はプラグもジャックもまったく同じである。よって、送信用コネクタ同士あるいは受信用コネクタ同士をケーブルで接続する、というミスをしがちなので注意したい。

ケーブル側の取り扱い:ジャック側より繊細な注意が必要

 取り扱いに神経を使うのは、ジャック側よりむしろプラグ側、すなわち光ケーブルの方だ。光ケーブルの中には、光を伝達するための光ファイバが通っているが、同程度の太さの電線に比べると物理的強度が低い。つまり、ケーブルとして比較的「もろい」のだ。

 デジタル・オーディオに使われる光ケーブルには、プラスチック・ファイバと石英ファイバがある。ほとんどの製品には前者が使われており、後者は一部の高価な高性能品に限られているのが現状だ。特に物理的強度が低いのは後者の方で、ひねってしまうとファイバが折れたり、折れないまでも内部に応力が加わることで屈折率が変化したりして使い物にならなくなる。また、ケーブルを巻くときも許容曲げ半径が規定されており、それ以上小さく曲げたり巻いたりすると、ファイバにダメージを与え、光が通るときの損失が大きくなるなどして通信できなくなる。許容曲げ半径はケーブルの取扱説明書に記載されているが、石英ファイバの場合、断面構造にもよるがおおよそ100550mmと大きいので注意したい。もちろん、ケーブルを踏んだり強い力で挟んだりするのも禁物だ。

 一方、プラスチック・ファイバは石英ファイバほど弱くはなく、許容曲げ半径は2050mmと石英ファイバに比べれば小さい。それでも、やはりねじりには弱いし、電線のような剛性もないので、大きな力を加えないように注意が必要だ。光ファイバそのものが傷ついていなくても、曲げたりひねったりしてケーブルが変形すると、光が伝わっていくときの損失が大きくなって通信エラーが生じたりすることは覚えておきたい。

 ケーブル両端のコネクタ部分に出ているファイバの先端部分をきれいに保つことも、光伝送時の損失を抑えるという点で重要なことだ。光ケーブルを購入するときには、使わないときにファイバ先端部を保護するためのキャップが付いている製品の方がよい